食堂イベント、喜劇か悲劇の始まりか

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 あれだけ言われても尚友達って凄いな。  転校生の中の友達の定義が知りたい。  もう目を合わせたら友達なのかな。友達100人とかあっという間だろうな。  そう言えば会長まだ転校生好きになってないよな?  もしかしたらこのまま王道ルートから外れてくれるか?  会長が落ちなかったら王道なんて総崩れだろう。  だがまだ蘭がニヤニヤと気味の悪い笑いを浮かべているので油断は出来ない。 「何を言ってる。俺がいつお前の友達になった?」 「お前じゃない!茉央だ!」  転校生が名前を言った瞬間、転校生を見る会長の目が細められた。 「茉央?お前、苗字はなんだ」 「日比谷だ!日比谷茉央!」  会長は少しだけ目を見開く。  そして短い間思案した後、薄く笑った。 「この俺様に反抗するとはなぁ。そういうのは嫌いじゃないぜ。」 「何言って、ッん…………んはっ……」  は?  会長が転校生の顎を掴み、キスをしている。  しかも生徒の前でディープなやつを。  あ、ありえん。  このまま王道ルートから外れてくれるかと思ったのに!  外れるどころか予定通り真っ直ぐ進んでいやがる!  蘭はきらきらと目を輝かせながら、噴き出しそうになる鼻血を抑えている。  さすがに天使様がこんなところで鼻血を出してはいけないことはわかっているようで。必死に抑えている。  周りの生徒は悲鳴と罵声の嵐。  こりゃ学園が荒れるな。  葵と庵くんはそんなこと全く気にせずに食事をやめない。 「な、何すんだっ!」  やっと解放された転校生は、腰が抜けたらしい。  しばらく呆然としていたが、思い出したらしく顔を赤くして叫んだ。 「こんなんでへばってんのか?」 「なっ!」 「まあいい。……反抗なんて、出来なくしてやるよ」  会長が甘い声でそう言う。  ネコな生徒はその声で顔を真っ赤にしている。  しばらく呆気にとられていた他の生徒会たちは、やっと動き出した。 「かいちょー、茉央ちゃんに何するの!」 「そうだよ!かいちょーの変態!」 「あはは、流石に初対面でキスはねぇ」 「あなたの方がよっぽど不潔です。近寄らないで下さい。」 「お前らなぁ」  言いたい放題だな。  否定するつもりはないけど。
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