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あの後転校生は、食堂に一緒に来たクラスメイトに連れられて帰っていった。
あれはトラウマになってもおかしくないと思う。
転校生のあの性格ならわからないけど。
会長さんはと言えば、生徒会連中に散々責め立てられ、生徒会室に帰っていった。
侑李が恐ろしく黒い笑顔を浮かべて連行していったので、今から仕事を凄い量押し付けられるんだろう。
まあ、自業自得だな。
庵くんは、残りのパフェを全て平らげ、生徒会の方に戻っていった。
「いや~、本当に食堂に来て良かったよ!」
蘭が満面の笑みでそう言った。
正直言って、何が良かったのかさっぱりわからない。
面倒なことになっただけではないか。
「俺は来なければ良かったと思ってる。」
「何言ってるの!書記さん以外は王道真っ直ぐだったじゃん!」
「それが嫌だって言ってる。」
「会長と転校生のキスも見れたのに!」
「それを見て喜んでいるやつは少数派だ。むしろそのせいで明日から学園が荒れるぞ。」
それが一番嫌なのだ。
親衛隊は隊長が上手くコントロールしてるから制裁とかは少ないけれど、それも絶対じゃない。
我慢出来なかった親衛隊の行き過ぎた制裁。親衛隊以外の生徒によるいじめ。
それらは全て転校生に降りかかるだろう。
もともとの容姿と性格では、好感は抱かれていなかったとしても、今のことがそれにさらに拍車をかけただろう。
転校早々それではいくらあの転校生でも少し可哀想だ。
いや、アレなら気にしないという可能性もある。
何かいじめを仕掛けても「お前照れてるんだな!本当は俺と仲良くなりたいんだろ!」とかそういう感じの盛大な勘違いで終わりそうだ。
まあ、転校生のことは俺が気にすることはないだろう。
それより気になるのは会長の心理だ。
一体あれは何が目的だったのか。
蘭が言うような、単純な恋愛感情などではない気がする。
会長は苗字に反応していたように思えた。
皇と日比谷に何か関わりがあったのか?
調べることがまた一つ増えたな。
どうやら、蘭が語るような単純に恋するだけの王道ストーリーではないようだ。
様々な思惑が交差している。
どれが真実なのか、わかりそうでわからない。
奇跡的に噛み合っていた歯車が、今また、狂い始めた。
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