歓迎なんてしていない。

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 この人は本当に鋭い。  だが、本当の理由を言ったら生徒会の企画を全否定することになる。  まあ、それでも良いんだけど、何かしらの仕返しが来る可能性がある。 「なァ、五十鈴?本当の理由を言ってみろよ。」  薄く笑いながらそう言ってくる。  これはきっとわかっている。  わかっている上で、俺に言わせようとしている。  性格悪すぎる。  もうどうなってもいいや。 「だから、景品のデートが嫌なんです。なんで男子校の新入生歓迎会の景品がデートなんですか?何が悲しくて男とデートしなくちゃいけないんですか?男とデートなんてごめんだと思っている俺のような正常な人間がいることを考えて下さい!」  言ってしまった。  会長はまだ笑っている。 「景品がデートなのは、大多数の生徒が最もやる気になる景品だからだ。他の物だとやる気を無くす生徒が多い。俺らは金持ってるからな。大体の物は手に入るんだよ。あと、お前のような人間は一割にも満たない。そこまで考慮することは不可能だ。」  それは嫌味か!  食堂で飯を食うことさえ我慢している俺への嫌味か!  金持ち本当ムカつく。  あと一割にも満たないって本当なの?  もう少し多かったと記憶していたはずなんだけど。  あぁ、腐男子か。  あいつらはこのイベントを喜ぶのか。  こういう所でこの学園の異常さがよくわかる。  だが、侑李はデートとか嫌がりそうなんだけどな。  転校生を好きって設定にしているから、正面からデートが嫌とは言えないのか。  やはり、侑李が転校生を好きって設定にしたことは、完全に失敗だったと思われる。  でも会長の言っていることは最も効率がいいんだよな。  ムカつくけど。……ムカつくけど!  会長はまた、笑みを深める。 「お前は、俺様が考えた企画にケチを付けるのか?」 「い、いやそういう訳じゃないけど……。」  あれ、侑李が考えたのお前だけじゃねぇよって顔してる。  まあ今はそんなことどうでもいい。  何か仕返しが来そうだ。  また雑用やらされるのか。  早めに逃げてしまおう。 「それじゃ、俺は失礼します。」 「待て。」  俺は心底嫌だという顔で振り返る。 「どうせ暇なのだろう。この書類を風紀委員室に持っていけ。」  また面倒な。
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