歓迎なんてしていない。

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 会長は、不在といっても転校生と接触している訳ではないようだ。  何のためにそこまで不在を重ねているのかはわからないが、確実に仕事は溜まっている。  会計と双子のサボり癖は、今に始まったことではない。  ここ最近はいつもより酷いらしいが。  生徒会の業務はほぼ侑李と庵くんでこなし、それでもかなり遅れが生じている。  実際に滞っているので、それを全て転校生に繋げている生徒は少なくないのだ。  だが、双子と会計はおもしろい玩具を見つけたくらいの感覚だろう。  よく絡んでいると言っても、過去にこういうことがなかった訳ではないのだ。  会長に関しては、食堂以来ほとんど接触していない。  実際に転校生に接触したのは、食堂の時だけなのである。  まあ、そのインパクトが強すぎて、今も生徒の間で話題になっているのだが。  これは近々俺も生徒会の仕事に駆り出される可能性が高い。  俺は一般生徒なのにな。  次は風紀委員室か。  風紀委員室は生徒会室から随分と離れている。  ほぼ対極に位置するのだ。階が同じなことだけが救いだが。  なにせこの校舎はだだっ広い。  道を覚えるのにも苦労したほどだ。  風紀委員には一年生の頃、よくお世話になった。  別に何か校則を違反した訳ではない。  今では全くと言っていいほど無くなったが、一年の頃は襲って来る馬鹿共が結構いたのだ。  俺は高等部からの外部生だった。  だから襲って来るばかりではなく、侑李と仲が良いことに対する嫉妬で嫌がらせとかもあった。  侑李はタチにもネコにも、どっちにも好かれているのでたちが悪い。  嫌がらせ程度では風紀委員に出てきてもらうことはなかったが、強姦とか集団暴行とかだとそうもいかない。  といっても、全て未遂だ。返り討ちにしたのでその処理を頼んだだけなのだが。  なにぶん回数が多いので、自然と現在の風紀委員長と副委員長にお世話になったのだ。  今ではそんなこと滅多に起こらないため、風紀委員室に行く頻度は減った。  こうやって書類を届けに行くか、強姦や暴行の仲裁に入った時くらいだ。  風紀委員室に着いた。  風紀委員室は、生徒会室に比べて質素だ。  生徒会室に比べて、であって充分豪華だと俺は思う。  コンコン、とドアをノックする。 「失礼します。」
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