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人間は枷を壊せない。
でも僕なら大丈夫。
人間は一人では無力だ。
でも僕なら大丈夫。
人間は痛みに弱い。
でも僕なら大丈夫。
僕は化物。
人間じゃない。
鉄の枷を引きちぎり、彼女に覆いかぶさるようにして身を守る。
「被り物の人…………?」
心配そうに見上げる彼女の涙を手で拭う。僕が出来るのはこれくらい。
降り注ぐ雨だって、一人ぼっちの夜のより辛くない。痛くない。寂しくない。怖くない。
だからこの雨が止むまで、僕なら、大丈夫。
そう思った時、石の雨が、言葉の風が、止んだ。
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