「ありがと」

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僕は公園が好きだ。色んな人が集まるから。 犬の散歩をするお婆さん、ボールを投げ合う子供達、赤ちゃんの涙を奮闘する父親、のんびりコーヒーを飲む仕事着のお姉さん。 公園で思い思いの時間を過ごす彼らは、当然、僕に奇怪な視線を送る。 それを悟って立ち上がった。 その時だった。 「今日はゾウなのね!」 後ろから聞き覚えのある声を掛けられた、振り返ればそこには昨日の彼女がいて、ニンマリとした笑顔を見せながら隣に座り込んだ。 「あの後、黒猫さんは私の家で買うことにしたの。ほら!」 そういうと後ろから猫が僕の背中を登ってくる感触があった。振り向くと鈴の付いた朱色の首輪をつけた黒猫が一匹。僕はよく猫に好かれる。恐らく、大きくて登りやすいんだと思う。 「登っちゃダメよ、クロ」 そんな彼女の言葉に鳴きながら、登頂した黒猫は退屈そうにあくびをしていた。
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