「ありがと」

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次の日、僕は昨日の事を思い出して街に行くのをためらった。もしもあの時、隠れなかったらどうなっていたかと考えると、僕は怖くて動けなかった。寝ることすら出来なかった。夜は孤独を増長させて、人の暖かみを知ってしまった僕にとって、それは耐え難いものになっていた。 なのに。 「それじゃあまたね!」 そう言ってくれた彼女の姿が、笑顔が。脳裏によぎる。 初めて僕に触れ合ってくれた一人と一匹。 もしも、彼女らが石化してしまったら。 そう考えた僕は、無意識に被り物を取っていた。 彼女たちが石になったら。 そっちの方が、怖かった。
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