「ありがと」

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その瞬間に周囲から放たれた網が、彼女ごと僕を包んだ。そして現れた街の住民たち。 「昨日!私見たのよ!現場にあの男がいたのを!」 その言葉を聞いて、僕はようやく理解した。 人と化け物はやっていけないんだって。 網の中に入れられた僕。そのまま僕は(かせ)で手足を縛られて、彼女は何とか救助してもらえた。 そして広場の中心に放り出された僕に対して、街の住民たちは石を投げつけた。罵詈雑言を浴びせた。化け物に相応の仕打ちを行なった。 止まらない痛み、心も体も痛い。辛い。 死ぬかもしれない。 でも僕は人間を嫌いになれなかった。 だって僕は、人間が好きだから。 「待って!待ってちょうだい!」 だって彼女が、人間なんだから。
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