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二人の少年はバスに乗り込むと、一番後ろの席を陣取った。 走り出すと、膝立ちして大きな窓から外をのぞいた。遠くに大きな塀が見えている。 一人は塀が見えなくなると、前に向き座り直した。もう一人は、見えなくなってもその方向を見詰め続けていた。 「……にいちゃん…」 向き直した少年が、いつまでも座り直さない少年の服の裾を軽く引っ張った。 「…うん」 呼ばれて頷きながら座り直したが、まだ塀の方向に未練があるようだった。 少年達は揃いの制服に、名札の付いた指定のリュックを背負っていた。 弟の名札には、一年・リオ、兄の名札には二年・シオと書かれていた。
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