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塀の姿がみえなくなり、バスは森の中を走っていた。 一番後ろの席から少し前、右横に窓がある前向き席に移動した。 窓側にシオ、通路側にリオは座っていた。 森の中に舗装された道路は交互車線で、あの塀にだけ続いている。時折すれ違うのは大きなトラックで、どれも重厚で頑丈そうなものばかりだった。 シオはシートにもたれて顔だけを外に向けていた。リオはその後姿を見ていた。 「兄ちゃん…」 「ん?」 「楽しい?」 「別に…」 シオは振り返らず応える。 リオは素っ気ない返事に俯き肩を落とした。 「………」 「……………」 「………リオは?学校楽しいか?」 暫くの沈黙、突然の問いかけにリオは驚き顔を向けた。 シオがこちらを視て微笑みかけてくれてたのだ。 白いカッターシャツに黒の長いズボンの二人は徐々に言葉を増やした。
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