序 章:タイムスリップ

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 チーム対抗のランキング戦のときのような、殺伐とした雰囲気ではなく、今日はメンバーがバラバラで野良プレイをしていたので、グループチャットではサークルの話やバイトの話をしながら、だらだらプレイしていた。  メインウェポンとして、ショットガンを使用しているプレイヤーは少ないのだが、俺は一撃で相手を倒せるショットガンを好んで使っていた。ショットガンは、他の武器が相手の近距離での撃ち合いでは、ほとんど撃ち負けることはないが、ショットガン同士だとエイム(敵に照準を合わせる)の速さが、勝負の決め手になる。ショットガンが相手でも、だいたい撃ち勝てるレベルまで練習したのだが、ID:i_am_a_shotgunというプレイヤーには、正面から撃ち合ったときに一度も勝ったことがなかった。奴はたぶん1日中ゲームばっかりやっている廃人プレイヤーだが、毎回負けるのは悔しい。リベンジをしたくて、いつもID:i_am_a_shotgunがいるサーバにログインしているが、 このセッションでは残念ながら同じ勢力になっていたので、戦うことができなかった。奴が味方にいると獲物を先に取られてしまうので、どちらにしても俺にとっては迷惑は奴だ。 「悠斗、次のセッションどうする?」 先輩達がいないときは、翔がいつも決まって悠斗に次の行動を聞く。 「この時間なら回線も軽いし、北米サーバの人数が多いから北米サーバで良いかな。」 悠斗は俺たち1年生4人の中では、リーダー的な存在で、次の行動方針を決めるのはだいたい悠斗の役目だ。 「おっけ、じゃあグループチャットでアイザック達にも言っとくわ。」 「たのむわ~。」  このセッションでの戦いが終盤に差し掛かってってきて、日本軍が有利なまま終わりそうな状況で、ボイスチャットから聞き覚えのないおじさんの声が聞こえた。 『みなさん、もっとリアルな戦争ゲームやりたくないですか?』 「あ?誰だよこいつ!このゲーム全体チャットってできだっけ?」 藤井先輩は今日は少しイラついているようだ。いきなりボイスチャットの相手に噛みついてしまった。俺たちの間に気まずい空気が流れないように、悠斗が間を置かずに応える。 「いえ、全体チャットはできないはずですよ。」 「じゃあ誰このID:yamamoto56って人は、誰がグループに入れたの?」     
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