第5章:ハーケンクロイツ

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『いえ、お兄さんが俺の部下で、楓さんがお兄さんに弁当を届けに来た時に、たまたまお会いしたのがきっかけでしたね。』 『ふ?ん、たまたまね…。それは確実にたまたまじゃないですよ。楓は園田さんが楓と知り合うかなり前からずーっと、園田さんに片想いしてたんですよ。だから、園田さんに会えると思ってお弁当持って行ったんだと思います。だから、楓は本当にすっごく園田さんのことが大好きなので、大切にしてあげてくださいね!』 『そんなに人から好かれたことはなかったので、嬉しいですね。もちろん大切にしますよ。』 少々ヤンデレ気質があるが…。しかし、その話しを聞いたら尚更早く楓さんに会いたくなってしまった。 『なんか色んなとこで繋がってて、誰かに仕組まれてるような気がして怖くなってきたのは俺だけか?』 『きっとたまたまですよ、運営だって、自由にして良いって言ってたじゃないですか。』 翔はどんなときも楽観的な思考をしているが、今回は翔の言う通りだと俺も思う。世界の多様性を求めて俺らをこっちに送ってきたとしたら、運営が介入してくるのは恐らくそこまでだろう。もし、そういった介入があるのだとしたら、俺らをこっちに送る必要なんてなく、運営が直接何らかの介入をすれば良いだけのことだ。そんな回りくどいことをする意味がない。     
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