第5章:ハーケンクロイツ

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1942年3月23日17:00 大日本帝国 東京市 総理官邸  ようやく緊急ミーティングが終わって、官邸内の自分のデスクに戻り、翔への引継ぎ資料に目を通しながらストロベリーティーを飲んで一息ついていると、楓さんの送迎が終わった木村三佐が戻ってきた。木村三佐からは特に問題なかったとの報告を受けて、約束の19:00までに帰宅するべく、次々と引継書に目を通して承認印を押す作業を繰り返していく。今回の内閣総理大臣の交代は内閣改造等の予定は一切なく、スタッフもそのままで交代がないため、俺の総理大臣としての仕事だけを翔に引き継げば良いので、引継ぎに関係のない職員達はいつも通り働いていて、定時で帰り支度をしている職員もちらほらといるが、内閣総理大臣付きの職員だけは慌ただしく動き回っていた。おそらく、3月中は深夜までの残業が続き、休日出勤も必要となるだろう。そんな内閣府の職員のために今日は俺のポケットマネーで『縁』の弁当を配達してもらって、みんなに夕飯として配ったら     
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