第5章:ハーケンクロイツ

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「見ての通り預金は常に各口座に1,000円しかありません。今、日本経済は好景気による若干のインフレ傾向にあって、物価も毎年少しずつ上がっているのは知ってますか?」 「はい、お母さんが最近はお米と調味料以外は色々高くなったと言ってました。」 「そうなんです、米と調味料、それと何品目かの穀物類は政府が価格調整をしていて、値段が急激に上がらないようにしているのですが、その他の品目については全体的に物価が上がっているんです。中には小麦や大豆のように外国からの輸入で安くなったものもありますが、それは一部ですね。」 「なるほど、お米は食料自給率の問題にも繋がりますし、お米が高くなったら食べるのにも困る人がでてきますからね。」 「その通りです。流石です。そこで、俺の預金はどこに行っているかというと、決して浪費をしているという訳ではなく、現金や預金にはせずに先ほど話していた収入の元となる資産に変えています。」 「さっき言ってた株や債券に変えてるんですね。」 「はい。一部は株や債券に変えてますが、それだけではリスクが集中してしまうので、この通り複数の種類に分散してリスク管理をしています。」 楓さんに資産目録と資産比率を円グラフにした資料を渡した。     
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