第5章:ハーケンクロイツ

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翌朝、俺が起きると、まだ朝の7時前だというのに既に楓さんは起きて、朝食の準備を終わらせていた。 「おはよう。」 「おはよう、誠司」 「早いね。」 「うん、朝起きてお味噌汁の香りがするのが男の子の理想のシチュエーションなんでしょ?」 「そうだね、さっき起きたときに味噌汁の香りがして、テンションが上がったのは事実だね。」 「じゃあ、ご褒美をください。」 俺は楓に近付いて、頭を俺のほうに向けてきたので、楓の頭を優しく撫でてあげた。 「明日も頑張るね!」 「ありがとう。でも、忙しいときは無理しないでね。」 「うん、ありがとう。じゃあ、もうご飯できてるから食べよっか。」 朝食のメニューは麦入りご飯、豆腐の味噌汁、大根の漬物だった。ご飯と味噌汁から湯気が上がっていて食欲をそそる。さすがに楓は良く分かっている。こういうのが良いんだ。朝からおかずはたくさんいらないし、質素だが手間をかけて調理しており無駄がない。それに、贅沢に馴れてしまうと庶民的な感覚がなくなって、国民のことを理解できない、理解しようとしていない政治屋と一緒になってしまう。     
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