序 章:タイムスリップ

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よく見ると、グループのメンバー一覧に見覚えのない「yamamoto56」というIDが、追加されていた。  ヘッドホンから舌打ちが聞こえてきた。藤井先輩細がまたキレそうだ。この人は普段は後輩の面倒見が良くて優しいのだが、キレやすいのが欠点だ。このサークルに1年生と3年生しかいないのは、4年生は就活で引退したのだが、俺たちが入る前に辞めた2年生は、全員でサークルの飲み会に遅刻してきたときに、藤井先輩にキレられて、その場で全員辞めたらしい。 「おぉ、気がつかなかったな。しかも、連合艦隊司令長官でしょ。山本五十六閣下を招待したのは誰だ?」 小川先輩は、こういうイレギュラーなことが結構好きなので、楽しんでいるようだ。ちなみに藤井先輩が辞めた2年生にキレたときも、一人で小川先輩を煽って喜んでいたらしい。 しかし、藤井先輩がこれ以上ヒートアップすると、機嫌が戻るまで付き合わなきゃいけなくなるので、早くこのおじさんを、グループから外さなければならない。 「すみません、ヤマモトさん。これ普段はメンバー限定でロック掛けているグループなので、申し訳ないんですけど、メンバーから外しますね。」 俺はメニュー画面のグループ設定から、yamamoto56のIDを外そうとしたけど、エラーになってしまい、グループから外れない。 「ん?なんかエラー出て外せないんだけど、翔やってみてくれない?」 「いいよー・・・。あれっ・・・、俺もできないみたい。不具合のお知らせも出てないし、もしかして運営の人じゃね?」 俺だけが外せないといと思ったけど、翔からも外せないし、非公開のグループチャットに参加できる権限を持っているので、翔のいうとおり、もしかしたら本当にB.O.E.Lの運営の関係かもしれない。 違反行為を行ったときに、運営から直接注意されることがあるらしいので、もしかしたらグループの誰かが、違反行為をしたのかもしれない。さすがにここまで育てたアカウントが、誰かの違反行為のせいで凍結されるのは、勘弁してもらいたい。     
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