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いつしか僕も高校生になり、いじめからも解放され楽しい青春時代を過ごしていた。
イジオはいつの間にかお調子者キャラになっていた。馬鹿みたいにはしゃいで楽しそうだ。
ヒロシもキャラクターが変わっておりイキりキャラだった。洋楽を好んでギャング系ファッションが好きな奴だ。
アカネちゃんはいつの間にか恋人ができたらしく不在のことが多かった。たまにいる時は恋愛のアドバイスをくれたり彼氏の愚痴を言っていた。
僕が社会人になって、仕事を頑張っていた頃、人生ではじめて年上の彼女ができた。
その頃には妖精たちは不在になることが多かった。
みんなそれぞれ飲み会やフットサル、恋愛などで忙しそうだった。
たまに来てくれても全員が揃うことはなかった。
不思議と寂しくはなかった。彼らには彼らの人生がある。
数年前、僕は心が折れてしまったことがある。
仕事や恋愛、全てがうまく行かなくて生活もままならない状況になっていた。
そんな時、久しぶりに妖精が全員揃って僕を励ましてくれた。
忙しいのにわざわざ来てくれたのは有難かった。
現実世界の友達には負担をかけるのが悪くて相談できないことも、妖精には相談できた。
僕も大人になって分かっていた。
彼らは僕なんだ。
僕の一部が妖精なんだ。
イマジナリーフレンドという奴だ。
心が死んで動けない時も、不安に苛まれて布団から出れない時も、涙が止まらない時も一緒にいてくれた。
イジオはいつの間にかイジけなくなった。ヒロシも頼れる大人になっていた。アカネちゃんはもはやお母さんになっていた。
子供も2人いるという。
知らない内に皆大人になっていた。僕だけが足踏みしていた。
僕も早く歩き出さないといけない。
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