妖精がいた世界

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数年に及ぶ治療の末、精神はだいぶ回復してきて今では安定した生活を送れるようになった。 仕事はまだ不安があるが、日常生活や恋愛関係は上手く回っている。 順風満帆ではないが、なんとか辛い人生をやり過ごせている。 気づくと妖精はいなくなっていた。 不在にしているわけじゃない。 なぜだか分からないけど確信がある。 「彼らはいなくなってしまった」 イマジナリーフレンドは幼少期の子供に寄り添うことが多い。 大人になると自然に消えてしまうという。 僕の側には数年前までイジオ、ヒロシ、アカネの三人がいてくれた。 不在にすることも多かったが、彼らは確かに「いた」んだ。 もう彼らはいない。戻ってこない。 消えてしまった。 ようやく大人になれたということだろうか。 だとすれば彼らは安心して消えたに違いない。 長年一緒に過ごした彼らと別れるのは寂しいが、また彼らが戻ってこないように生きていきたいと思う。 さようなら、妖精さん。 強く生きていくために。
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