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真夏の公園
今年の夏の暑さは異常だ。
外気は当たり前のように人の体温より高く、全国で最高気温の記録が更新され続けている。
そんな真夏の真昼間に、ろくに日陰もない公園で小さな女の子が遊んでいる。
帽子一つ被っていないその姿は、何一つ日よけ対策などされていそいないし、水飲み場もない公園にいるのに、水筒などを持っている様子もない。
外回りの途中でたまたま見かけただけの見知らぬ子だが、大の男でも根を上げる猛暑の日に、あんな恰好で小さな子供を放っておくなんて、親や保護者は何をしているんだろう。
あるいは、近所の公園にあの子が一人で来てしまったとか?
どちらにしても、熱中症になる前に声をかけてなんとかしないと。
若干の正義感にかられ、俺はその子に声をかけた。
「この暑いのに、帽子すら被らずに外にいたら、すぐに具合が悪くなっちゃうよ。すぐ家に戻って…」
「そうよね。こんなに暑くてお日様がめいっばい照ってるんだもん。帽子を被ったりお水を飲むのは普通よね。…でも、先生はダメって言ったの」
そう一言つぶやき、女の子は、真夏の蜃気楼のように消えた。
誰もいない、暑く日差しが照りつけるだけの公園に響く蝉の声が、俺にはやけに遠く聞こえた。
…昨今、日本でも夏場の気温は人の体温を楽に超える始末だ。昔みたいに、暑いくらいで人は死なないとかじゃないんだよ。
その先生とやらがどういう考えであれこれ禁止したのかは知らないけれど、こんな暑い公園で死ぬまで遊ばなきゃならなかったなんて、さぞしんどかったことだろう。
暑かったね。辛かったね。苦しかったね。…空の上は涼しいかな? どうかそこでゆっくり休んでほしいよ。
真夏の公園…完
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