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ひとしきり質問を試してみたが、うまいこと質問が思い浮かばずに、結局パワードの目的は分からなかった。
「お前はなんでパワードを捨てたんだ?」
途方に暮れていると、田中が聞いていた。
「いや捨てたわけじゃないんだ。大事にしていたはずなんだが、いつの間にか失くしてな。それっきりだった」
「ふーん。もしかしたら失くした理由に関係があるのかもな。失くした日のことをよく思い出せないか」
失くした日のことか……。
そもそも俺がこいつとよく遊んでいたのは小学生の低学年の時だ。
祖母がクリスマスプレゼントに買ってくれたんだよな。
「それが嬉しくてばあちゃんの家に遊びに行くときはいつも持っていったな。懐かしい思い出だ」
祖母にもらったパワードを大事にしてるよ! と祖母に見せたかったのだ。
毎年冬休みになると祖母の家に遊びに行っては、祖母にパワードを見せていたな。
「そうか。ちなみにばあちゃんはまだ?」
「あぁ生きてるよ。一人暮らしだけど、年に一回は顔を見に行くぜ」
祖父に先立たれて以来、祖母は実家から少し離れたところで一人暮らしをしている。
母さんは一緒に住もうと言っているみたいだが、祖母は住み慣れた家が良いらしい。
「もしかしたら、パワードはばあちゃんの家で失くしたのかもな」
「ヘアッ!!」
パワードが久しぶりに喋った。
「おぉ、そうなのか。お前、今までばあちゃん家にいたのか」
「ヘアッ!!」
祖母は一人じゃなかったんだな。パワード、お前が祖母と一緒にいてくれたのか。
なんて俺がほのぼのしていると、田中が青ざめた顔をしている。
「どうした? 田中。青い顔をして」
俺が声をかけると、田中はパワードを手にとって問いかけた。
「もしかして、ばあちゃんに何かあったのか?」
「ヘアッ!!」
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