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Dear My Honey
月に一回、最も胸が高鳴る日。
仕事だと言うのに不真面目だけど……数ある営業先の中でいくのを一番楽しみにしている。
俺の大好きな……可愛いあの人に会えるから……。
「お世話になります!鶴亀株式会社でーす」
「お世話になってます。蜂谷くん、今日も荷物重そうだねー」
営業先では配置薬のチェックをして交換や補充をする為、いつもかなりの大荷物。
「もうバラまいたりしませんから!山辺さん」
「ふふっそうだよね?蜂谷くんもうベテランだもんね」
……バラまいた……というのは、初めてこの会社に営業に来た時の出来事。
それがきっかけで、俺は恋に落ちたのだった……。
その頃はまだ一人立ちして間もない頃で、どこに行くにもかなり緊張していた。
山辺さんに案内されて席に行く途中、躓いて薬の入ったカバンをひっくり返してしまった。
恥ずかしいやら申し訳ないやらでいっぱいいっぱいになる俺に、彼女は……
「全然大丈夫だよ!ケガない?えーと…蜂谷くん!」
その時初めてちゃんと彼女の顔を見た。
太陽のように明るい可愛らしい笑顔。
まるで魔法のように緊張が解けて、心が暖かくなったのを覚えている。
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