1 芽衣

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茫然自失・・・ って言うのかな? 気がつくと私は、真っ暗な部屋の中にいた。 いつの間に自分の部屋に帰ってきたんだろう。 カーテンも開けず、電気もつけず。ただ、部屋の扉にもたれかかっていた。 好きですって言われた? 何でわたし?? 渡された紙には、彼の名前とLINEのID。 やばい。 キャパオーバーだ。 何でわたし? たいして可愛くもないし。 背も高いし、ガサツだし。 髪も短いし、女扱いされたことなんてほとんどない?? 恋愛とか、告白とか、現実にある事は知ってたけど。わたしとは別次元の話だと思ってた。 こんなの、全然リアルじゃない。 やばい。 顔熱い。 わたしは、大きく深呼吸をして、両手で顔を覆った。 どうしよう。 その時、もたれかかっていた扉がガッと開いた。 扉に体重を預けていたわたしは、そのまま廊下に倒れ込み、後頭部をガンっとぶつけた。 「・・・うーわ。 オマエ、何やってんの?」 ハル兄が呆れた顔で立っていた。 わたしは、真っ赤になっているだろう顔をとっさに両手で隠した。 「何でもないっっっ??」 その時、わたしの手から紙がカサリと引き抜かれた。 「何だこれ?」 うっわ。ヤバっ。 わたしは咄嗟にハル兄に掴みかかったが、手を上にあげて回避された。 「返してーっっ!!」 と、叫ぶと同時に、隣の部屋のドアがバンッと開いた。 「うるっせーよ。 何騒いでんの?お前ら。」 カズ兄が怪訝そうにこちらを伺う。 「何でもないっっ!」と、言いながら紙を取り返そうとするけど、ぜんっぜん届かない。 わたしとハル兄がギャーギャー言いながらもみ合ってると、カズ兄が上からスッと紙を引き抜いて、マジマジと見つめた。 「男だな。これ。」 取り返そうとするわたしの頭を片手でした押さえ込んで、ハル兄も紙を覗きこんだ。 「おおっっ?? マジで男の名前だっっ。 何これ?オマエどこから奪い取ってきたの?」 「まあ。 普通に考えるとすると。貰ったんだろうな。」 チャカすハル兄をカズ兄が冷静に切り返す。 「そうかー。 芽衣も男ができる様な歳になったのかあ。」 「えーっっっ?? オマエ、彼氏できたのー?」 2人でやいのやいの言いながら紙を眺める。
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