2 朗

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ポケットに入れていたスマホが、短く振動する。 その度に、ビクッと画面を確認する。 さり気なく。 何気ない仕草を装って。 普段は、こんなにスマホを見る事はない。自分の部屋に放りっぱなしにしていることの方が多いくらい。 だからなのか、さっきから妹たちが訝しげにチラチラと視線を投げかけている。 2つ年下の双子の妹、藍(あい)と紅(べに)。あいつらにだけは気づかれたくない。 オレがスマホを手放せないでいる理由を。 これ以上リビングに居ると危険な気がして、早々に自室に引き上げることにする。そう思ってソファーから立ち上がろうとした時、短くスマホが震えた。 反射的に画面を確認すると、それは期待半分諦め半分で待っていた相手からのメッセージで。 思わずにやけそうになる頬を引き締めて、そそくさとリビングを出た。 ヤバイ。顔が熱い。 まだ、いい返事か悪い返事かもわからない。 でも、反応が返ってきた。それだけなのに。 嬉しすぎる。 思わず頬が緩む。 スマホをポケットに戻し、二階への階段を昇ろうとした時、後ろから両腕をグッと掴まれた。 「アキラちゃん~。 なーんか、ソワソワしてない~?」 と、右から藍。 「スマホばーっかりみてるしー。 しかも。今、ちょっとニヤついてなかったー?」 と、左から紅。 げっっ。 やっぱ、来たか。 「何でもない」と振り切って階段を上がったが、その後ろをツインズが小走りでついてくる。 「ねー。誰からのLINEー?」 「みーせーてーよー! きーにーなーるぅっ!!」 シツコいツインズの追求を何とかかわし、自分の部屋にに滑り込みバタンとドアを閉める。 そのまま、ドアを背にズルズルとしゃがみ込んだ。 チラッと見ただけで中身までは確認できてないけど、それは彼女からのメッセージだった。 両手で顔を覆い、大きく深呼吸をする。 意を決してスマホを手に取り、メッセージを開く。 [笹中芽衣です。 今日。好きって言ってくれてありがとう。 あなたの事を少しずつ教えてくれますか?] 彼女からのメッセージ。 思わず、笑みがこぼれた。 短いメッセージだった。 彼女らしい。 温かくて、素直なメッセージ。
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