タイトル→57577 *字あまり

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 なにしろ俺は長年封印されてたんで、軽くタイムスリップ状態。必死に現代に対応し、嫁に悦んでもらおうと必死である。 「む、着信か?」  スマホを見れば、ニュースの新着情報。 便利なものだスマホ。俺はSNSで大蛇のコミュニティに入っており、現代の情報収集に使っている。 「最近通り魔事件発生中。いずれも被害者は大蛇のため、皆さん警戒されたし……か。ふむ。物騒なことだ」  つぶやきつつ、街の中心部を離れる。畑の多い地区に入ったところで、あるものを見つけた。  ウサギが罠にかかっている。  本物ではない、妖だ。配下がやってるパン屋に入ったバイトだな。農家の害獣駆除用の罠にかかったか。ドジなことだ。  助けてやった。ウサギは大変感謝して、 「ありがとうございます。貴方様は蛇神様でらっしゃいますよね?」 「ふむ。完璧に人間に擬態できてると思ったが、これほどイケメンなら神と分かってしまうか」 「…………。えー、その、一応恩返ししたいのですが……」  別にいらんと言っても食い下がってきた。 「ならば。お前、恋人か妻はいるか」 「おりますが?」 「ふむ、教えてほしいことがある。今の女子が連れて行ったら喜びそうな場所が近くにないか?」 「あります! ご案内しますよ!」  ウサギの妖が案内してくれたのは、一面の花畑だった。休耕中の畑に花の種を植えてあるのだ。景観もいいし、緑肥にもなる。 「ほう! これはすばらしい」 「……ええ、彼女もこんな花畑が好きでした」  俺がどこから見るのが一番いいかと背を向けて歩く間も、ウサギがつぶやいている。 「そう……最愛の女性でした。でももういない。食われてしまった。あの大蛇に―――!」  ウサギは正体を現し、怪物の姿になると飛びかかってきた。  鋭い爪が背中に食い込―――む前に、蛇の口がガキンと受け止めた。  俺の肩のあたりから頭が一個生えている。この程度なら一本で十分だ。全部出すまでもない。  俺はゆっくり振り返った。 「お前がこうすることは分かっていた」 「なっ、何だと……?!」 「ふう。このままでは話もできん。とりあえず静かにしろ」  神通力で動きを封じ、さらに強制的に人間の姿に変化させる。 「お前は最近の連続通り魔事件の犯人だろう。大蛇ばかり狙うのがその証拠。お前は俺の父に恋人を殺されたと思っているのだろう?」 「ああそうだ、許さない!」
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