職人の悩み

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 俺は若旦那の言われるままに、入り組んだ裏道の小さな広場に向かった。その広場には、いくつものごみが散らばっていた。 「君、耳にしているかい? ここ最近、これが街のあちこちに捨てられていることが多いそうだけど……」  若旦那は、それを手に取り、俺の目の前に突きつけた。 「……残念だねぇ。実に残念だねぇ」  それは、紛れもなく俺が悩みながら作り、売った団子で、しかも、ほとんど手付かずの状態だった。                  
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