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ビーズの花飾り
「あれ? ない、ない、ない!」
砂がついたままの手で、みかは自分の耳元を触り、さらには頭のあちこちを触ります。ですが、みかの手には自分の髪の毛の感触しかありません。
「……どうしよう、お気に入りの髪飾りなくしちゃった……」
みかはさっきまで遊んでいた場所に戻り、砂浜を掘り返しますが、出てくるのは小石と貝がらだけです。
「みか、そろそろ帰るわよ!」
みかはお母さんに、お気に入りの髪飾りをなくしたことを告げられないまま、お家に帰りました。
みかが海水浴場でなくした髪飾りは、ごく普通の髪用のピンに、ビーズで作られた虹色の花がついたもので、春先のお出かけの時、立ち寄った蚤の市で売られていた物でした。
みかはその髪飾りを見たとたん、目が離せなくなり、自分の物にしたいと思いました。
ですが、みかのおこづかいは、大好きなチョコバナナを買う分しか残っていませんでした。そこでみかは、おかあさんにおこづかいはをねだりましたが、首を立てにふることはありませんでした。
考えた末、みかはチョコバナナをあきらめ、その髪飾りを買いました。そして、毎日と言っていいほど身につけていました。
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