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――そう、髪飾りをなくした海水浴に行くときも。家に置いていったら? と、おかあさんに言われたのですが……
おかあさんの言うとおりにしたらよかった。と、みかは何度もそう思いました。
次の年、みかは家族で、あのお気に入りの髪飾りをなくした海水浴場に来ました。みかは泳がないで、砂浜を掘り返してばかりいました。もう、探しても無駄だとわかっていましたが、探さずにはいられなかったのです。
「みか、せっかく海に来たのに、どうして泳がないの?」
「……おかあさん、あのね……」
おかあさんにたずねられ、みかは正直に去年、ここでお気に入りの髪飾りをなくしたことを言いました。
「もう、みかったら! 去年なくしたものなんて、出てくるわけがないでしょ!」
おかあさんはあきれながらも、みかをぎゅっと抱き締めました。
「本当に、本当に、みかのお気に入りだったのね……」
その言葉を聞いて、みかは、あの髪飾りはもう見つからないという事実を、やっと受け入れることができました。
それからしばらくして、みかはアクセサリー作りの体験に参加しました。学校からもらったプリントに、白黒写真でビーズで作られた花があって、それを見るなり行ってみたいとおかあさんに参加したいと言ったのです。
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