隣の人は

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 おお、源蔵の孫か。……そうか、それはよかったの。わざわざこのわしに知らせてくれてありがとうな。  なに? 処置が終わった途端、喉が渇いただの、旨いもん喰わせろと、雛鳥のように催促されておるとな。ほほ、元気そうじゃの。  ……よかった、よかった。仏様に氏神様、それに源蔵に爺さん。ありがたや、ありがたや……    街に来るのは久しぶりじゃ。しかもバイクに相乗りとはな。長生きするもんじゃな。あそこか、川村が入院している病院は。  失礼するぞ。具合はどうじゃね。両足が折れたと聞いてはいたが。いったい、どうしてこんな事になったのじゃ?  なんと、このわしが山菜採りをしている姿を撮っているうちに足を滑らせ、動けなくなったのだと? あほじゃの。  わしに渡す土産、救出されるまでに喰っちまったと? 土産などいい。お前さんと、こうして話せるだけで十分じゃ。  なに? その撮った写真を今度の展覧会に出したいとな? 呆れた奴じゃ。文字通り、転んでもただでは起きぬときたか。  ……どれどれ、これはわしかの? 言葉にうまくできぬが、これは良い写真じゃな。  ああ、好きにするがええ。  ところで、足、どれぐらいで治ると医者は言っておる? そうか、思った早く治るようじゃな。若者の特権じゃな。     
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