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「阿呆みたいとは思わないよ、いくら何でも。こっちが呼び出したことは重々承知なんだし」
わたしは肩をすぼめた。相変わらず一言いえば二つも三つも速攻返してくる奴だ。青山くんはわたしの意識が戻ってきたことでちょっと気を取り直した風で、目の前に置かれたプリンとガトーショコラの乗ったパフェを引き寄せた。これも相変わらず。
「いつ見ても奇天烈なものを食すよね。甘み百パーセントで逃げ場なしじゃん。酸味とか塩っけとか欲しくならないの?」
大人の男の食いもんかよ。と呆れて呟くと、奴は意に介した様子でもなくスプーンを手にして平然と受け流した。
「何でだよ、意味わからん。途中で塩味とか酸味とか入るとせっかくの口の中の甘味が消えるじゃん。そんな勿体ないことするわけないだろ。その発想、さてはお前甘党じゃないな」
「えーと。…そこそこには好きですけど。一度にその量はちょっと。…許容範囲を超えてるかな」
引き気味に答える。あれを幸せな気分で完食できなきゃ甘党じゃないって言われたら。まあそうだね、としか返しようがない。そんな党に何がなんでも入りたいわけではない。
「三十五にもなってそれじゃ腹回りが緩むよ、前から言ってるけど。適度な運動も併用しないと。身体には悪そうなメニューかな」
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