自由

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 私は今、人の頭と建物に囲まれた青空を見上げている。  美しい青空だ。  背中には硬いアスファルト。  本来であれば熱く焼けているであろうそれの温度を、私の体はすでに感じる事が出来なくなっていた。  さっきまで焼けるように熱かったはずの腹も、今は感覚が殆どない。  体にもまるで力が入らない。  色々なものがどんどん遠ざかっていくのを感じる。    いきなりの事で何が何なのか。  確か、スクランブル交差点を横断している最中だったはずだ。  腹に激痛が走ってそれから……。  ふと、私と青空の間に、黒い影が割り込んできた。  その影は私の目の中で滲み、青空と溶け合おうとしている。 「先輩、私信じてたんだよ」  黒い影は悲しそうにそう言った。
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