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核戦争により、いよいよ人類が滅亡しかかっていた。
おそらく放射線で溢れかえった地上同様、
この地下シェルターも限界が近づいている。
大きな地震や異常気象も進んでいる。
ここにはわたしとわたしが神と呼んでいる、
一家に一台のロボット型人工知能のマスターコンピューターだけになった。
セカイは黒すぎるラストレインで終わりを迎えようとしている。
コンピュータの計算ではあと5分ほどしかないみたいだ。
最後は人間らしく会話をしてそのときを終えたかった。
会話は人間であることの証明のように、飢えていた。
もはやしゃべり相手はロボットしかなかった。
問いに対して何かしらの返事や答えを
過去の人類の経験や無数の行動パターンからスーパーコンピュータで
導きだしてくれるのだ。 もはや人間を超えた知能。スピード。
個人の趣味思考・検索履歴も考慮したり、
思い出話もインプットしている。
スマートでクレバーな人工知能だ。
過去を語らせる巧さ。
最高のエンターテイナーはストーリーテラーだと
あの、もっとも成功したマイケル・ジャクソンがそういってたそうだ。
要は語り部、話術だということか。
そんなマイケル好きの博士とお笑い芸人好きの考古学者が共同開発した
コンピュータ。
今は語り部モードではなく、しゃべくりモード(神対応)
に切り替えた。
わたしは問う「オカマのちーママの暗証番号はなんだったと思う?」
神は答える「暗証番号はおそらく6969」
わたしは問う「不倫の唄ってなんか知ってる?」
神は答える「チェッカーズの『ミセス・マーメイド』なら音源ありますよ」
わたしは問う「社員旅行でタイにいったとき、なぜ2日目風俗に行かなかったと思う?」
神は答える「一日目にしごかれすぎて、ちんちん怪我したんでしょ」
わたしは問う「今、外の世界はどうなってる?」
神は答える「街は、娼婦であふれてるぞ!」
素敵な嘘をありがとう。最後に人間らしく、
他愛もない会話でもできてよかったよ。。
最後の力を振り絞り、
後ろから神を抱きしめて思わず
「俺じゃダメか?」
といってみた。
神は優しく答えた。
「俺じゃなきゃ、ダメだよ」
苦笑いしたわたしはゆっくりと目を閉じ、終わりを待った。
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