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「牛田妹よ、調子はどうだい?」
「普通」
「そうか、なら、良かった」
だいたい、1週間で2回ほど湯沢っちに遭遇していると思う。
さすがに昔のように、腰を抜かすほど驚かされたりバカにされたりすることはないけれども、要注意人物なことに変わりはない。
「最近、エロいの買った?」
……だから、天敵なのだ。
ずいぶん前(就職したての頃)に、我が家に名前を出してはいけないほど気持ちの悪い黒光りする人類の天敵・Gが出たときに、湯沢っちに助けを求めたことがある。
さすがご近所という早さで現れた湯沢っちは、見つかってしまったら通報されるだろうというようなだらしのない姿だった。
白いランニングから透ける乳首と胸毛。胸毛に至っては、腋毛と一体となってランニングの腕まわりからハミ毛がコンニチハしていた。
そして、下はハイビスカス柄の派手なトランクスで、手にはスリッパ。
Gにもビビったが湯沢っちの姿にも、ビビった。
「牛田妹! ヤツはどこだ!!!」
恐る恐る壁に張り付くGを指させば、スリッパを片手にGを叩いて逃げられるというお粗末な状態。
さらに、逃げたGが私目掛けて飛んできて、湯沢っちにスリッパで顔面を叩かれるという悲劇に遭った。
そして、Gは玄関に向かい、湯沢っちが玄関を開けてスリッパでGを玄関の外に追い立てて追い出してくれたのだ。
問題は、その後だ。
一応、お礼を言ったら、お茶ぐらい飲ませろと勝手に部屋の中に入ってしまい、そこで少々エロい趣味を見られてしまったのだ。
テーブルの上に読みかけのTL漫画を置いていた私のせいだけれども……。
あのときの微妙な空気……。
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