私の天敵のこの人は……

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新藤さんに更衣室まで連行された私はというと、その後、化粧直しを促され、髪の毛を弄られた。 なにか、イヤな予感がするのだけれども、まさか大衆食堂でお見合いが開催されるわけがないよね? 肩よりも少し長い私の髪の毛は、オシャレ度のまったく感じられない黒ゴムひとつ縛りで THE 事務員 といった見た目である。 ついでに言うと、産まれてこのかた毛染めをしたことがないから、ナチュラルに黒い髪の毛で、髪の毛をおろしていたら市松人形に似ていると思う。 「う~ん、難しいなぁ。三つ編みからのハーフアップって思ったけど、綱引きの綱みたいになっちゃう……」 その独り言、聞こえてますよー! 「あの……新藤さん、つかぬことを聞きますが……」 「ん? なぁに? おすすめのメニュー?」 だーれーがー! いきなり決まった大衆食堂ディナーをそんなに楽しみにするっていうのだー! 脱力した私に新藤さんは続けた。 「やっぱり一番のおすすめはロース味噌カツ定食だよ☆ でも、から揚げも美味しいし、天ぷらもアジフライも美味しいから大丈夫☆」 全部、揚げ物ですけど……。 「そうそう、ゆで卵も注文できるよ☆」 「……」 そうじゃなくって……。 「えぇっと……大衆食堂に行くのにどうして髪の毛を弄ったりするのだろうかと……?」 「えっ!? お見合いだよ、お見合い♪」 悪い予感ほど的中するってヤツだ。 「まぁ、余興も含めてるけどね? もうさ、頭にきちゃうんだよ! 社長は良い人みたいだけど、社長の息子はちょっとアレな人で若くて可愛くてスタイルが良くって性格も良い人がいいとかって、自分は脂ギッシュな中年のくせに!!!」 ……私、若くてに当てはまらないような……そして、その後の言葉はもっと当てはまらないよ……。 「だから! 大衆食堂でお見合いをセッティングして、碧ちゃんをハイスペックな彼氏が連れて行っちゃうって設定!!!」 うーん、イヤな予感しかしませんが……。 「帰ってもよろしいでしょうか?」 「ダメッ! 役者は揃ってるから、安心して?」 イヒヒと楽しそうにニッコリ笑われて、誰が安心できるのですか? 教えて下さいっ!!! 「映画みたいに碧ちゃんを奪っていくのっ!!!」 どんな映画ですか? 映画に詳しくないから、分かりませんが……。
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