決戦の土曜日

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「碧さん! こんにちは☆ 楽しそうっすね♪」 えぇ、個人的にはとっても楽しいよ、狂ったユザゴロウさんを観察するのはね。 だけど、こんな姿、誰にも見られてくなかったな、ピューッ! 季節は夏だけど、私の周りに木枯らしが吹いたと思う。 空気を読む人ではない江口君がエロ可愛い女の子を伴って、我々の座るテーブルの横に現れたなんて気が付いてなかった。 むしろ、店内に入ってきていたことにさえ、気が付いてなかった。 「二人の世界を醸してましたねー☆」 そういえば、江口君には連れて行く人が彼氏だとか恋人だとかだということは言っていなかったような……そういう設定の人を連れて行くって言っただけだったような……。 この、ラブラブしてましたねぇっていう空気を醸しまくっているのは、メグちゃんにそう思わせるための江口君なりの気づかいなのかしら……。 バカだと思っていたし、空気を読む子でもないと思っていたけれども、江口君、いい子だわー。 が、やっぱり江口君はバカに違いない。 早々に私の隣に座るとか、意味不明!!! メグちゃんも普通に直樹サンの隣に座るとか、本当に意味不明!!! 「初めまして! サンズイに片仮名でエロと書いて江口って言います☆」 すでに、私の中では何度も聞いておなじみになってしまっている決まり文句の自己紹介を江口君が直樹サンにしているではないか。 直樹サンは呆気にとられた様子である。 ちなみに、今日の服装はチンピラ風ではなく、夏を満喫してそうなビキニ姿の女の子ちゃんがデカデカとプリントされたTシャツに薄手のハーフパンツ。 そのまま海辺にいそうな感じである。 そして、メグちゃんはというと、これまた夏っぽさ全開の涼し気素材の薄いグリーンのヒラヒラワンピース。胸元がVネックで、谷間が見える……。 丈も膝上だし、若さ全開って感じだ。 ギャルっぽいメグちゃんを見て、想像とちょっと違ったなと思った。 もっと粘着質っぽい感じの子かと思っていたんだけど、そうでもなさそう。 「初めまして! 江口の彼女のメグミです☆」 「えっ!? メグちゃん、彼女だったの!? 俺、ちゃんと彼氏だったの!?」 「あー……多分?」 隣で繰り広げられる茶番を見ながら、自己紹介してないなぁ……と思った。 あとさ、江口君、苗字で呼ばれてるの? 私も下の名前、知らないけど☆
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