決戦の土曜日

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「三河に生まれて……良かったーーー!!!」 いきなり立ち上がったと思ったら、どこかで聞いたことがあるようなセリフとともに叫びながら片手を突き上げて 「こんなバカな彼氏いらない」 などと冷静にメグちゃんに言われて、すぐさま座って 「ごめん、ごめん、つい感動しちゃったもんだから」 と、平謝り。 さらに 「メグちゃん、もうちょっと前かがみになってくれると嬉しいんだけど」 と、目線をメグちゃんの胸元に注いで 「でも、エロい彼氏は大歓迎☆」 「俺、もっとエロくなるよ!」 なんてやりだして、私はどうしたものかと思うわけで……。 「碧ちゃん、俺たち、ここに来た意味、あんの?」 直樹サンに言われるまでもなく、私もそういう気持ちでしたよ、奇遇ですね……。 我々の骨折り損のくたびれ儲けな雰囲気を感じ取ったのか 「お姉さん、ごめんなさい。さっきの二人のラブラブなやり取りを見ていたら、私の完璧な勘違いだったってよく分かりました☆」 と、メグちゃんが謝ってくる。 いや、いいんだけど、ユザゴロウさんと戯れる自分の姿を見られた挙句、それがラブラブ認定されていることが羞恥心でいっぱいだ。 微妙過ぎる。 「そうそう、そんなラブラブに見える相手、よく見つけてきましたよね、碧さん☆」 「……」 「……」 「……」 「あっ……」 気が付くの、遅いって、江口君!!! メグちゃんの目が怖いって、気が付いてる? 「どーゆーこと!?」 ほらほら、凄んでるよ、メグちゃん。 ギャルに凄まれて、私の心の中も体もギュッと強張ったし……。 「えぇっと……」 口ごもる江口君と同様に私も口ごもってしまった。 悪いことなんて一つもしてないはずだけど、斜め四十五度の位置から怖い視線を浴びせられて、口の中が渇いて上手に説明できない。 「俺と碧ちゃん、ちゃんと付き合ってるよ」 余裕の表情でメグちゃんの方に体を向けた直樹サンは、その豊満な胸の谷間に目を向けることもなく、 「なぁ?」 と目線を私に向けて、まるで任せておけというように穏やかに笑った。 それからメグちゃんの方にもう一度向き直った。 ユザゴロウさんも楽しいけれども、今の直樹サンもなんかステキに見えてくる。 眼精疲労か!? 違う違う、今は困ったときの ユザえも~ん!!! モードなんだ!
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