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「お疲れっ!」
酒井課長は、明らかに私に向かって言ってくれたと思うのに
「お疲れ様でございまっす!」
と、ビシっと踵をそろえ直して敬礼する新藤さんに苦笑い。
「お疲れ様です」
ボソボソと根暗な人のように挨拶して、初対面のコブさんに頭を下げてみる。
遠目で見るよりも近くで見る方が、ぬいぐるみ度が高い。
色白でツルツルのお肌は、適度に脂ギッシュで、しかもそれは汚い感じではない。
不思議な肌質だ。
頭髪は、アジア系男性が好みそうなサイドは短く頭頂部はちょっと長めな感じで、誰かに似てる気がする。
きっと有名な人。
誰に似てるんだっけ……とモヤモヤしながら、酒井課長、コブさんに続き入り口ののれんをくぐる。すると、新藤さんに小さく袖口を掴まれて、小さな声で囁かれた。
「某国の最高指導者様に似てるよね?」
「グッ!!!」
危うく、吹くところだった!
でも、スッキリした!
ありがとう、新藤さん!
そうか、某国の最高指導者様か!
社長の息子だし、某会社の次期最高指導者様になるお方だ、粗相のないようにしておこう。
慣れた様子で席につく酒井課長の隣にコブさんが、酒井課長の正面に新藤さんが、そしてコブさんの正面に私が座った。
「とりあえず、ゆで卵だよな」
聞き間違いだと思いたかったけれども
「ひとまず人数分でいいか」
と、おっしゃっている酒井課長の顔はいたって普通。
「俺、ロース味噌カツ定食にしよっと」
「私も!」
酒井夫婦は、ロース味噌カツ定食らしく、私は壁際に貼り付けられている手書きのお品書きを眺めた。
「あっ、エビフライ定食にします」
「おー、エビフライ定食な。で、小松さんはどうします?」
コブさんは、小松さんというのか!
もう、コブさんでいいよね?
「あっ、から揚げ定食で」
見事に揚げ物のオンパレード。
ハイカロリーフェスティバルって感じですね☆
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