決戦の土曜日

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知らなかった。 私、湯沢っちとデートしてたんだっ!!! どれがデートだった? 頭の中は疑問でいっぱい。 目の前の湯沢っち直樹氏は、分かっていたさという達観した顔に呆れを織り交ぜつつ 「大事なのは過去じゃなくて未来だからな」 自分に言い聞かせているのか、私に言い聞かせているのか、真っすぐに見つめてきて、自分にも私にも暗示をかけているような言葉を吐いた。 「じゃぁ、碧ちゃん、休日デートスタートってことで行こう」 ……デートだデートだと連呼されると恥ずかしいんですけど。 っていうか、デートな気がしてくるから不思議なんですけどっ! ドキドキしてきたら、どうしてくれるんだっ! 責任取って、最後まで……ダメだ。 オシモが草原になるまで……草原になったとしても恥ずかしくて無理! 「ひとまず、サンクチュアリにでも行くか」 デートだデートだと頭の中で連呼して、勝手に湯沢っち直樹氏を意識してしまって黙ってカチコチな動きをしていた私に提示された目的地に、それまで感じていた緊張が一瞬で溶けた。 「行く行く! むしろイクイク! 今日はどんなステキならめぇーーーーーーーーっ!!! に出会えるかな♪」 「コイツ、案外チョロいな」 「なんか言った?」 「どっちが面白いのを見つけられるか競争だなって言っただけ」 「よし! 私の勝ちだよ☆」 「それはどうかな。行くぞ」 いつもと同じ感じだけれども、自然に手を繋いでくるあたりがデートなのだろう。 あっ……メグちゃん対策にお互い、ボーダーのTシャツを着た挙句、お揃いのような●ンバースのスニーカー……色まで一緒とか……。 ん? 「ねぇねぇ、直樹サン! もしかして、私がこのスニーカー持ってるって知ってて真似して買った?」 「真似じゃない」 「偶然?」 「お揃いって言うんだ」 「……ストーカー……」 新藤さんの言った通りだ。 この人、ストーカーだ! 「よくあるだろ、同じアイテムを持ってることから恋に発展とか」 「乙女か!」 「下半身は成人男子だから大丈夫」 「うわー、ドン引き……」 「おかしいな、メグちゃんだったら喜ぶと思うけど碧ちゃんはダメなのか……」 首を傾げる変態が目の前に。 「絶倫希望」 「それは年齢的に厳しめ……」 「ブッ! バカ正直!」 相手が湯沢っち直樹氏でも楽しいぞ! 新発見!
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