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休憩スペースから近い場所の広場では、武将隊の皆さんが演武をなさる時間が迫っているみたいだ。
地方都市のお城の武将隊にどれほどのファンがいるのか……なんて思っていたら、けっこうな人だかりでございますね。
「武将隊、見る? 演武するみたいだよ? この暑いのに鎧兜で滝汗を流しながら大立ち回りを演じてくれるんだって」
「碧ちゃんが見たいなら」
「よし! イケメンがいるかもしれないから行こう」
ペットボトルを片手に元気よく立ち上がったら、直樹サンに片手を握られたうえに
「俺もイケメンに入る?」
などとタワケたことを言われて白い目を向けた。
「直樹サンの同僚の男の人、この前お昼に公園でお弁当食べてた人、イケメンっていうのは、ああいう人だよ」
「郡司か……でも中身はけっこう最低だぞ、アレ。来るもの拒まず去るもの追わず的なヤツだったし」
「経験値、高そう。気持ちいいこと知ってそう」
「碧ちゃん、それ以上変な妄想を頭の中で作り上げる前に武将隊を見に行こう」
はい、繋がれた手を引っ張られた。
ちぇっ!
直樹サンの同僚のイケメンこと郡司さんをおかずに、ドS設定の
らめぇーーーーーーーーっ!!!
を展開させようと思ったのにっ!!!
武将隊の演武目当ての人だかりの後ろの方で待つこと数分。
時間になったみたいで、スピーカーから大音量のバックミュージックとともに、武将隊の皆さんが走って登場してくれた。
おぉっ!!!
暑そう!!!
長い棒を振り回したり、刀を振り回したり、なんだかよく分からないうちに演武は終了した。
さらに、ファンとの交流会に突入したもようで、一緒に写真を撮りたい人は並んでくださいとやりだした。
……熱中症で倒れないのかな、あの人たち。
ちなみに、直樹サンの会社の同僚のイケメンレベルの方が高い気がした。
「郡司さんのサインの方が欲しいな」
「はっ? 何言ってんの? 会わさないよ! アイツと同じ空気を吸ってたら妊娠させられるぞ」
「わーォ! すごい繁殖能力☆ 精力凄くない? 絶倫? 紹介して!!!」
「ぜってーイヤだ!!! っつーか、なんでそうなる? 普通は敬遠するだろっ!」
「イケメンのテクニックに溺れてみたい!」
「三か月後に碧ちゃんをたっぷり満足させてやるからそれまで我慢しろっ!」
そ、そ、それはもしやオ●禁命令された?
憧れのドSプレイに近付いたっ!!!
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