決戦の土曜日 part2

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「おい、こら、気が付いてるぞ!!!」 「ヒィ-ーーーーーーーッ!!!」 振り返った奴(直樹サン)の片手にはしっかりと文化包丁が握り締められていて、怒った様子の顔とベストマッチング! 怒った顔と文化包丁は、今すぐに犯罪者になれそうなほどの危険なトータルコーディネートである。 文化包丁よりも、ナタとか斧の方がしっくりくるような気がするけれども、一般家庭にそれはないか……。 「ナニをしようとしていたんだよ」 血管マークを顔面に描きたい。 怒ってる、怒ってる。 過去の私だったら、天敵の湯沢っちが怒っているという状況はけっこう恐ろしいものだったけれども、今の私にはどうすれば直樹サンの機嫌が良くなるかなんてちょちょいのちょいで対応可能だもんね☆ 「ひとりであっちで残されてるのが淋しかったから構って欲しいなって思っただけだもん。だから直樹サンにくっつこうかと思っただけだよ。邪魔して」 「邪魔じゃない」 ごめんと続けようと思った言葉は直樹サンのデレた顔と邪魔じゃないという言葉に遮られた。 単純☆ 「ユザゴロウさん!!! ゴロゴロして☆」 「……」 無言で見られるの、きついですが…… 「ごめんだにゃんっ!」 今はユザゴロウプレイをする気分じゃなかったんだと思って、謝罪の言葉を述べたら、手に持っていた凶器(文化包丁)をまな板の上に置いて 「おー、よしよし! ふぉー、よしよし!」 などと言いながら、頭を撫でてきた。 ついでに顎をゴロゴロしてきた。 単純☆ ゴロゴロされながら、隙をついてア●ルめがけてブシュっと手を突き刺したら 「オフッ!!!」 直樹サンがお尻を両手で抑えてピョンピョン跳ねながら逃げたのは、余談である。 面白かった! 思うに、これは、お家デートの王道である。 誰にも見られずに、人には言えないような遊びに興じる。 きっと、私の直樹サンに対する愛も深まったと思われる。
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