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とりあえず、直樹サンに睨まれて、両手をお尻に置いたまま私に
「ハウス!」
と怒鳴ってきたので
「ワン!」
と鳴いて自宅に帰るべくリビングから去ろうとしたら
「違うだろっ!!!」
さらに怒られた。
「我儘なご主人様だにゃんっ!!!」
「……」
直樹サンの動きが止まった。
あぁそうか。
謎はすべて解けた!!!
「我儘なご主人様だワンッ!!! が正解だったんだね☆ 猫にハウスって命令しないもんねー。ハウスって命令されたんだから犬だワンワン」
イメージの中の犬のチンチンポーズを再現してみた。
「どっちかっていうと猫希望。いや、断然猫希望」
謎の言葉を残して、直樹サンはクルリと向きをかえて料理に続きに取り掛かった。
「今度ふざけたことしたら、碧ちゃんのことも切り刻むぞ」
「……おーこわ。牛田碧殺人事件だ」
「切り刻まれるのが前提で話をすすめんなっ!!!」
小さい声で呟いた牛田碧殺人事件の言葉をしっかり拾ってリアクションをするって……この地獄耳っ!!!
らめぇーーーーーーーーっ!!!
な小説はムラムラしそうで読めないし……。
前の彼女と致したかもしれないソファーに牛田碧の臭いをこすりつけてみる?
それとも、変なシミがないか探してみる?
ラグのフサフサの隙間に直樹サンの縮れ毛がないか探してみる?
探したところで、保存袋を持ってないから持ち帰れないしなぁ……まっ、うちの冷蔵庫の中に1本あるから、いざというときはそれを使えばいいか。
念のために予備も欲しいとこだけど……いつか致したときには縮れ毛を採取しよう☆
緑色のラグのフサフサの間をゴソゴソしながらお宝を探す。
落ちてない。
まさか、掃除が趣味なのかい?
細かい男はイヤだなぁ~。
直樹サン、細かいよね。
スカートを履くと文句を言ってきた過去。
襟ぐりの開いた服を着ると文句を言ってきた過去。
股上の浅いパンツを履くと文句を言ってきた過去。
帰りが遅いと文句を言ってきた過去。
果ては、洗濯物をベランダに干してるだけでトランクスを一緒に干すようにという謎の忠告をされたこともある。
変な相手と付き合ってるかも~。
いや、本当に変な相手だったら、派手柄のトランクス(推定使用済み)を差し出してきたはずだから、
直樹サンは多分……
セーフッ!!!
良かった、彼氏が変態じゃなくってっ!!!
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