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私の心の声が聞こえたのか、私と同じ感想を持ったのか、ドン引きな感じでコブさんが
「……誰ですか?」
と、聞いている……
と、思ったら、それは、突然現れた私の信者への問いかけではなく、私へのモノだった。
コブさんの視線が、私に突き刺さる。
そりゃ、そうだ。
だって、もっと若くて可愛い女の子がタイプだったとしても、このお見合いは私とって話でコブさんはノコノコとやって来たわけだし、こんな失礼なことってない、と思う。
でも、コブさんだって私への上から目線でタイプじゃない発言をしたんだから、失礼具合はトントンだ。
「えぇっと……」
初対面の男の人だと言うわけにはいかないし……
いい感じにテカッているコブさんの頬肉に、顔がふやけたら力が出なくなる某アニメのテカりを描きたいとか思っている場合じゃなくて。
素直にこの茶番を謝るべきだと思って、膝の上に置いた両手をギュっと握り締めたその上にお隣の新藤さんから1枚の紙きれを渡され、素直に茶番を謝ろうと思った気持ちが吹き飛んだ。
やっぱり、長い物には巻かれておくしかない。
「この二人は、商社マンで、先日お友達に誘われて行ったお食事会でご一緒したんです。先輩風を吹かせている残念なイケメンが、山岸さんで年下純情ボーイぶってる方が勇気君です」
台本のママの棒読みである。
新藤さん、ありがとうっ!!!
残念なイケメンとか年下純情ボーイが気になるところだけれども、とりあえず、ありがとうっ!!!
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