私の兄のこの人は……アニーのターンは面白みに欠ける……

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酒井夫婦と幼馴染、新藤さんの弟さんとコブさんとの摩訶不思議なお見合いらしきものがあった週末、珍しい人から電話がかかってきた。 全く自慢にならないけれども、私は友人が少ない。 学生時代の友人で今でも連絡を取り合っている人は、二人ほど。 年賀状のやりとりを連絡に含めるのであれば……だけど。 そんな私のスマホは、もはや、ゲーム機だったりらめぇーーーーーーーーっ!!!な小説を読むための媒体であったり時計や万歩計としての機能しか使われていない。 本来の電話という機能を最後に使ったのは、いったいいつだろうか。 家族から電話がかかってきたときだ。 「あっ、アニー」 珍しく電話がかかってきたものだから、出ようとしても指がうまくスライドさせられない。 何度も液晶に指を滑らせて、やっとのことで通話状態にすることができた。 なんて使い勝手の悪い電話だろう。 やっぱり、ド田舎の実家にある黒電話のようなアナログな電化製品の方が私に優しい気がしてきた。 「はい、牛田です」 「うん、知ってるから」 そうでした。 相手はアニーでしたな。 「誰かが入院した?」 それ以外にアニーが私に電話をかけてくる用事が思い浮かばない。 「してない。どうしてそうなるのだね、妹よ」 「普段、電話しない人からの電話は冠婚葬祭のどれかと相場が決まってるけど、該当者が思い浮かばないから入院だと思った」 「惜しい! 冠婚葬祭」 「誰が死んだ?」 「死んでない、なぜそっちだと思うのだ、妹よ。ここに適齢期の兄妹がいたら、分かるだろ?」 えっ!? アニーがどうやって結婚するの!? 「まさか……」 「そうそう、分かるだろ?」 「孕ませたの!? 相手はちゃんと大人!? 未成年者とかじゃないよね!? 市役所の職員が淫行とかしてないよね!?」 「……妹よ……君は自分の兄貴をなんだと思っているんだね?」 「ロリコン趣味の変態」 「否定できないところが辛いところだけど、相手は社会人。お互いの実家に挨拶に行く段取りを決めたから、一応、碧にも伝えようと思った」 やっぱり、ロリコンだったか!!! 知っていたさ! 『エロリコンは地球を救う』とかって微妙なタイトルの薄っぺらい漫画をアニーの部屋で見たことがある……表紙が、もろにエロリコンだったもんなっ!
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