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サンクチュアリで買い物を楽しんだ後、まっすぐ向かったのは、地下街の居酒屋。
もちろん、お店のチョイスは新藤さんだ。
いわゆるチェーン店で、手羽先が食べられるお店とだけ言っておこう。
甘辛い味付けで胡麻がかかった手羽先。
それから、少々のアルコールがあれば新藤さんは最強になる。
「碧ちゃん、お疲れ様! 今日は、いい買い物ができたね☆ かんぱ~い!!!」
酔っ払う前から、ちょっと貴族っぽくなってる新藤さんと、グラスを合わせる。
本日のチョイスは、レモンサワー。
レモンサワーを美味しそうに飲んで、
「ゴホッ」
とむせるのも、いつものお約束で、少々涙目になりながら
「そうだった、いつもむせちゃうんだった」
と笑いながら、手羽先に手を伸ばす新藤さんを、本日、何度目かの温い目で眺める。
酒井課長、新藤さんは可愛いですね。
前は、どうして酒井課長が新藤さんと結婚するのか分からないと思っていたけれども、知れば知るほど新藤さんは面白可愛いです。
少々、食とアルコールが進んだ頃に、アルコールが入らなければ聞きにくい話題を出す。
「新藤さん、今日、買った戦利品とかって、課長の目の前で広げちゃったりするんですか?」
「ゴホッ!!!」
むせるのは、お約束だ。
「わざわざ見せないよ! こっそり嗜むんだよ! で、地元の友達に貸してあげるの!」
地元の友達……腐女子仲間がいたのか……。
美味しいな、それ。
「課長は、私の私物を漁ったりしないし、神聖にして犯すべからざる領域は確保できてるから! もちろん、私だって、課長が見て欲しくないと思ってる部分に深く追求することなんてないし!」
課長が見て欲しくないと思っている部分……どこ?
「今度、地元の友達と、ちょっと大人な同人誌を作ろうって話になってて、だから、これは、参考資料だよ!!!」
触手は参考資料だったのか……。
酒井課長の見て欲しくない部分の追求をする前にもっと面白い情報、ゲットー!
「その同人誌、買いたいです!!!」
前のめりになった自覚がある。
危うく、レモンサワーを倒しそうになった。
「えぇっ!?」
「文房具屋さんの強面オジサン社長が、触手に襲われて本屋さんのイケオジに助けられるっていうストーリーだよ? 面白いのは、内輪の人間だけじゃない?」
いやいや、絶対、面白いから、それ!!!
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