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ケイタと出会って1週間が経ったころ、大きく関係は変わっていくことになった。
これは私のミスだった。
私の住んでいるアパートの隣の部屋に誰かが越してきたことは知っていたが、まさかケイタだったとは思いもよらなかった。
知っていたなら、もっと注意していたはずだ。
あの日、サクにキスをせがんだりしなかっただろう。
いつものようにサクから家の前まで送ってもらい、別れ際にキスをもらっていた。
まさにその現場を押さえられたのだ。
私のバカ、と心の中で叫んでいたものの、平然としてみせた。
幸いサクには気づかれてなかったから、まずサクを帰し、その後私はケイタに「誰にも言わないで」と懇願した。
平然を装っていたものの内心、壊されてたまるか、と焦っていた。
そんな私を知ってか知らずか、ケイタは良い顔も、良い返事もせず「彼女がいる人に負けるつもりはないですよ。俺のこと好きになってもらいます」と、はっきりそう言い切った。
想像もしていなかった予想外の告白だった。
ケイタは私に一目惚れをし、教育係であった私を好きになっていたのだ。
私と同じように何パーセントかの確率で小さな店舗へとやってきて、私と同じように教育係を好きになっていた。
そして、カフェ仲間が誰一人気付いていない、私とサクの関係をたった一週間で知ることになった。
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