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今日は休日だというのに、お客さんが少なく、ほとんどのアルバイターが早上がり。 サクと私は閉店二時間前の同時刻に勤務が終わった。 うちの店舗からはメグミさんも同じ時間だった。 今日はメグミさんが他の店舗に手伝いに行っていたのに、偶然にも同じ店舗組3人が早上がりとなった。 メグミさんは正社員で、ユイさんと同い年で同期の人。 いつもお団子頭で笑顔が絶えない気さくな人で、私が入店してからもよく話しかけてくれたり、何かと気に掛けてくれて可愛がってくれている。 早い時間に仕事が終わると、一緒にご飯へ行ったりしては、恋愛話や将来の話をするほど仲が良い。 友達なのかわからないけれど、唯一サクのことを話さずとも心を許せる人だ。 ラストまでは店長とケイタ。 サクが先にロッカー室へと戻っていき、私が最後にカウンターを出て戻ろうとした時、ケイタに引き止められた。 お客さんには見えないカウンターの高さを活かし、私の手首を握るケイタに驚き、横目で見ると、同時に手首が解放された。 そのまま何事もなかったように「お疲れさまでした」と声を掛けてきたケイタに「お疲れさまでした」と同じように声を掛けた。 ドキドキは続いたまま店舗をあとにすることになったけれど、よく考えたらサクと一緒に帰りそうな私を心配していたのかもしれない。
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