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始めはいつものように仕事中の愚痴やミスを言い合いして、メグミさんの彼氏の話になり、浮気話の流れでサクとユイさんの話に発展した。 店舗は違うものの、同じカフェ内で付き合っている人はこの二人だけで、何かと例に挙がりやすい。 メグミさんと私の間で、共通のカップルといえば当然この二人になる。 「浮気といえばさ、リエ、サクから手出されてない?」 「え?どうしてですか?」 心臓を誰かに一蹴りされたように、ドクンッと脈を打つ。 私とサクの関係を知らないとはいえ、メグミさんの何気ない一言で、全身の毛穴が開いたような感覚だ。 「前から言っておこうとは思ってたんだけどさ、リエしっかりしてるから安心して忘れてた。だから、今さらなんだけど…アイツさ、癖悪いんだよね」 「癖?」 「そう、女癖。同じ店舗の子にすぐ手出すの。アンタが入る前の子もやられたらしいよ。なぜか突然辞めたからユイさんに何か言われたのかも」 着替え終わった制服をハンガーに掛けながら「その子さ、バカなことに皆に自慢してたんだよね。本命の彼女が同じカフェにいるとも知らないでさ」と世間話のつもりでメグミさんは話を続ける。 でも、それは私には関係大ありのことで世間話とはいえないほど重い話。 「そうなんですか」と、まるで自分には全く関係も関心もありませんとでも言うような軽い返事をした。 否、するように心がけた。 ショックというよりも、その子をまずバカだなぁと思った。 私はその子とは違う。 そう思ってはいるのに、着替えるスピードが半減してしまった。 付けようとするネックレスがなかなかつけられない。 隣ではメグミさんがロッカーをバタンッと閉める音がする。 「まぁ、それ以外はイイヤツだからさ、サクは。一応プチ情報ってことで。じゃ、私今から彼氏と待ち合わせあるからお先にー。お疲れさま!」 「お疲れさまでーす」
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