1

2/8
56人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ
つながっていた身体を離すと休む間もなく、処理を始める。 初めは、こんなことバレちゃいけないんだ、と思い知らされてるみたいでイヤだったけれど、もう慣れた。 あっという間に乱れた格好も整えると、まだベルトのバックルの音をカチカチといわせているサクの隣に少し間を空けて座る。 音が鳴り止むと、チラりと横目でいつもの確認をする。 また、だ。 「サク、立って」 「なんで?」 「いいから」 半ば強制的に立たせると、今サク自身が直したばかりのシャツとズボンをやり直す。 毎回のことだ。 サクの場合、ズボンはただの下半身を隠す為のモノのようで、まともにズボンを履けたところを見たことがない。 シャツのボタンを常識ある程度に留め、ずり落ちそうなジーパンを手早く直していく。 こんな時は跪くのも悪くないと思う。一応私にも母性本能ってやつがあるんだと思う。 「はい、おしまい」 「さんきゅー」 その屈託のない笑顔を向けられたら、なんかもう、どうでもよくなってしまう。 気が緩んだからだろうか、再び頬に熱が集まるのを感じた。 意外に目ざといサクに気づかれないよう、少し顔を隠しながら立ち上がる。 けれど、変な体勢ばかりだったからか、足が痺れて上手く立てず、巧い具合にそのままサクの胸に引き込まれるように倒れた。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!