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「あれ?」
ない、ない、ない!
慌ててその場でバッグをひっくり返す。
「嘘でしょ」
検討はすぐについた。
さっきまでいたあの家だ。
バッグが開いていたのは微かだけれど覚えている。
手放した時に落としたとしか考えられない。
まんまと罠にかかった私に天罰というわけだ。
今更取りに戻りたくもなければ、行く気もない。
ため息をついて、頭を抱える。
雨足は強まるばかり。
しばらくどうしようかと考えた後、ふと気づけばこんな時間にもかかわらず、目と鼻の先にあるケイタの部屋からは明かりが漏れていた。
スマホの電話帳からケイタを表示し、電話をかけた。
十秒ほど電子音が耳元で鳴り響くと、よく知っている声が聞こえてきた。
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