10-1

7/9
前へ
/64ページ
次へ
「サク、やめて」 覚悟を決めた瞬間、その声と共にサクの手が止まる。 どこかで聞いた声が危うい場面を助けてくれた。 「ユ、イ?何でココに」 「知ってるの、全部、全部知ってるの」 もう二度と会うことがないと思ってたあのユイさんがウチに来た。 ユイさんが居ることは疑問だけど、とにかく助かった。 サクもケイタも無事だから、そんな細かいことはどうでも良かった。 サクはユイさんに連れられて、この部屋を後にした。 どうやらユイさんは私がココに暮らしていることも、サクが私の家に来ていたことも知っていたらしい。 なぜ、あのタイミングでユイさんが私の所へ現れたのかは疑問だけど、静寂になった今、私は思考停止していた。 時間にすると短く、でも私にしてみれば一秒さえ一分に感じるほど長かった―。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加