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「サク、やめて」
覚悟を決めた瞬間、その声と共にサクの手が止まる。
どこかで聞いた声が危うい場面を助けてくれた。
「ユ、イ?何でココに」
「知ってるの、全部、全部知ってるの」
もう二度と会うことがないと思ってたあのユイさんがウチに来た。
ユイさんが居ることは疑問だけど、とにかく助かった。
サクもケイタも無事だから、そんな細かいことはどうでも良かった。
サクはユイさんに連れられて、この部屋を後にした。
どうやらユイさんは私がココに暮らしていることも、サクが私の家に来ていたことも知っていたらしい。
なぜ、あのタイミングでユイさんが私の所へ現れたのかは疑問だけど、静寂になった今、私は思考停止していた。
時間にすると短く、でも私にしてみれば一秒さえ一分に感じるほど長かった―。
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