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「お疲れ、リエちゃん」 「お疲れ様です」 珍しくユイさんと帰る時間が一緒になった。 働く店舗は違うけれど、着替えは全員同じで一番広い店舗の為、必ず誰かとは顔を合わせる。 今日は私がいつもより早く帰れることになったせいで、できれば顔も見たくないユイさんにロッカールームで会ってしまった。 サクと一緒に暮らしているユイさんは、同じ店舗でほぼ一緒に働き、サクとラストまでの時は帰りを送ってもらっている私のことをさすがに怪しんでいて、会えば必ず声を掛けてくる。 けれど、働く時間帯が全く違っていたので、ユイさんと会うのは極稀なことだった。 「これから真っ直ぐ帰るの?」 自分のロッカーを開け、着替え始めたユイさん。 「そうですけど、何でですか?」 制服のブラウスのボタンを外す手を止め、ユイさんを見る。 「へー 、帰るんだ。なんかリエちゃんって遊んでるイメージがあるから、夜中までとか普通に遊んでるんだと思ってたぁ」 遊んでるイメージか…。 少なからず、私とユイさんを比べると、遊んでると思われるのはユイさんの方だと思う。 派手な髪色、露出の高い服、高いヒール、ブランド物のバッグ。 私じゃなくて、誰と比べてもそれは言えることだ。 意味不明な嫌味を言うユイさんにバカらしくなり、一気にボタンを外すと、ブラウスを脱ぎ、ハンガーにかける。 「行きたいんですけどね、なかなか。明日も学校あるんで。ユイさん、もしかして今からデートですか?」 自分のことを棚に上げて、ズケズケと聞いてくる辺り、彼氏の浮気相手かもしれないって思っているに違いない。 ボロが出ないように笑顔で接する。 サクと付き合う以上、どんなことにもまず焦ったり、慌てたりしてはいけない。 とにかく笑顔を貫く。 これは覚えた。 「あ、バレちゃった?今からサクとご飯食べに行くんだぁ」 「そうなんですかぁ、羨ましいです」 思いっきり棒読みしてやりたかったが、オーバーなリアクションをとった。 ご丁寧に、わざと私にそういう質問をするように仕向け、わざと私にサクとデートだと宣言してくれるユイさん。 そんなことは承知の上で、私はユイさんのお芝居に乗ってあげる。
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